東京高等裁判所 昭和26年(う)939号 判決
本件公判が昭和二十五年九月二十五日川崎簡易裁判所に提起され、同裁判所において二回に亘り公判を開き、その間証人二名の尋問が行われた上同年十月二十七日の第二回公判において刑事訴訟法第三百三十二条に従い職権を以て本件を横浜地方裁判所に移送する旨の決定がなされたこと及び右決定に際し当事者の意見を聴いた形跡のないことは何れも所論の通りである。しかしながら同法第十九条に基いて移送の決定をする場合には、所論の如く刑事訴訟規則第八条により当事者の意見を聴かなければならないけれども、本件のように刑事訴訟法第三百三十二条に則り移送の決定をなす場合には、その性質上特に当事者の意見を聴くに及ばないものと解すべきであるから、この点に関する原審の手続に毫も違法はなく、論旨は理由がない。